2023.08.13
松戸のアトリエのお引渡しから数か月。
ひと段落納まった、とのご連絡を受け、様子を伺いに行きました。
玄関を入ると、なるほど、お施主さんの家になっていて、とても嬉しくなりました。
アトリエでの作業も開始され、拠点として動き出した様子です。
この風景を記録に残したくなり、改めて撮影の機会を頂きました。
ちょうど良く、構図に登場した家主(猫)
連続した窓辺。奥はアトリエ。
間仕切収納に、お施主さんが以前から使っていた道具箪笥(古道具の薬箪笥)がピッタリ納まっています。有るべき物が納まって、この家の重心が定まった印象です。
大きいテーブル。奥は収納多めのキッチンカウンター。
腰壁の収納は生活事務用品置場。テーブルの手元で便利そうです。
2階へ上がる階段は引戸の開閉で室内温度を調整します。
開けた時もでっぱりの無い納まりです。
キッチンカウンター
キッチンのバックカウンター
小窓(扉付き)によって、家全体の南北通風が可能です。
キッチンからの眺め
キッチンカウンターの下は猫のご飯コーナー
間仕切収納の裏側。アトリエ側の収納です。
アトリエ
アトリエから庭を経由して窯小屋があります。
通りからの目隠しにもなるハナレです。
窯小屋での作業時は庭を行き来します。
踏み石は既存を再利用して並び替えました。
庭はこれから緑が増える予定です。
既に野菜は植えられています。
アトリエから居間、玄関を見返す。
作業台も用意されてアトリエ稼動中。
こちらにも通気窓
洗面所です。
ステンレスシンクは洗面と作業用と多目的に使えます。
通気窓を開けると光と風が通ります。
通気窓を閉めると、壁に小物棚。
洗面所の通気窓からアトリエ、庭まで見通す。
柱が並ぶ、名のないオマケ空間。
突き当りに灯
午前中は庭の樹木の反射影が映る壁
枝分かれして奥の部屋
反対側は洗面所と浴室
明解に場所を区切らず、緩やかにつながる空間構成としています。
玄関からの眺め
お施主さんの持ち物は、設計段階でチェックしていましたが、
今回の新たな空間にちゃんと、それぞれの居場所に納まっていて嬉しくなりました。
日用品や衣料、本や仕事道具、諸々を納め、
日々の活動を円滑に進めるための、ベストな定位置を決めるところまで、
お引越しの後の住始めの準備作業はやっぱり大仕事だったのではないでしょうか。
お施主さんは今回の計画にあたり、何回も引っ越した経験上、使いやすかったかそうでないかを、
かなりシミュレーションして設計打合せに臨んでいた様です。
その積み重ねで、その人らしい、しっくり来る家になったのではないかと想像します。
住み始めてからの物の落ち着きどころが成功しているのは、その賜物と思われます。
人が住んで、暮らして、やっと住処になるのだと改めて思いました。
関係者の皆様、おかげ様でどうも有難うございました。
・ ・ ・
所在地:千葉県松戸市
規模構造:木造2階建て一戸建て住宅
工事内容:既存木造の改修工事(構造補強・断熱補強・設備更新・内装更新)
建築設計:ティー・プロダクツ建築設計事務所 谷口智子
構造協力:田村建築設計事務所 田村隆雄
建設会社:工藤建築 工藤達也
・ ・ ・
今までの経緯も下記からご覧ください。
お引越し前の様子→ 「松戸のアトリエ 出来立て写真」
工事の様子→ 「改修の現場から」
・ ・ ・
後記
実はプラン作成中、新しいプランに合わせて邪魔にならない様に、既存の柱を移動する事も検討しました。柱移動は技術的には可能な工事です。
お施主さんに提案すると「柱があるのは別に構わない、そのままで良い」とのご返答。
私も居間に既存の独立柱がある空間構成は面白く感じ、既存の位置のまま活かして進めました。
(工事中、柱には枘穴の欠損が多く新規の柱に交換しました。残念ながら既存の素材そのものは引き継げなくなりました。)
完成以降、よくよく思い返すと、残った柱の意味合いが少し変化していました。
柱をきっかけに改修前の間取りが思い出されます。
先代の光景・・・ここまでが畳の部屋、こちら側が居間、ここが広縁、ここに本が並び、
といった以前の暮らしの風景です。
空間に目を浮かべ、以前の境界線を目でトレースするための柱、という捉え方もできそうです。
既存の木造住宅を住み継ぐ場合、構造補強や断熱補強、設備更新といった性能的な更新は必要です。それに加えて、今までの面影を残したい、引き継ぐ要素と新しい要素を上手く共存させたい、といった、時間軸のある素材も設計要素として大切に扱いたいと思います。
2024.01.08 | 2024年 今年も宜しくお願い致します。 |
---|---|
2023.12.29 | 松戸のアトリエが「住む。」に掲載されました。 |
2023.10.29 | 「ゆるまがりの家」の解説動画が紹介されました。 |
2023.08.13 | 松戸のアトリエ 住処になる |
2023.08.05 | 松戸のアトリエ 出来立て写真 |